「どこにって?」
「家に帰らない時は、お友達の家に泊まってるんですか?」
凛様は以前は自分が使っていたソファに深めに腰かけて、私にもおいでと促す。
私はそのジェスチャーに気付かないふりをした。
だって、いちゃつく意味が分からないから。
「ここに居ない日は、スタジオに泊ってる。
バンドがいつでも練習ができるように、スタジオを借りてるんだ」
私はバンドマンの生活については何も知らない。
でも、プロでないのなら、他のメンバーはどうやって生計を立てているんだろう。
「凛様のバンドって、デビューとかしてるんですか?」
凛様は悪びれもなく首を横に振る。
「インディーズで、年に一度はアルバムを出してる。
自主制作になるから大して売れてないけどね」
自主制作…
あまり詳しくないけれど、自主制作って結構お金がかかるって聞いた事があった。
「他のメンバーは何をしてお金を稼いでるんですか?」
お金、お金って、自分の余裕の無さにため息しか出てこない。
でも、お坊ちゃまの凛様がどうしてそういう道を選んだのか知りたかった。



