シンデレラは騙されない



凛様はドアを開けようとする私の背後に立っている。
部屋に入れてもらえる前提で…

「凛様、こんな事はやめて下さい。
こんなところを会長に見られたら、私は即クビになります。
凛様はこのまま自分の部屋へ帰って下さい…」

凛様は私の言葉は無視して、勝手にドアを開けた。

「おふくろが麻里をクビにするなら、俺がまた雇ってやる。

っていうか、クビになんかしないよ。
だって、星矢は麻里先生の事が大好きなんだから」

自分で勝手にドアを開けたくせに、入っていい?なんて聞いてくる凛様に心を持っていかれそう。

「シャンパン、飲む?
二人の再会に乾杯しよう」

以前までは凛様の部屋だったからしょうがないけど、でも、まるで二人で一緒に住んでるみたいな変な感覚に胸が高鳴った。

私は本当に疲れていて、何だか頭が回らない。
あれよあれよという間にシャンパングラスを持たされた私は、モスグリーン色の大きめのソファにもたれたまま凛様と乾杯する。

「俺の元へ来てくれて本当にありがとう…」