シンデレラは騙されない



今日も早めに宿題を済ませると、二人で英語で今日の出来事を発表する。
まずは星矢君から。
今日は幼稚園の彼女の話は聞けるかな?なんて、楽しみにしていると、突然、星矢君の部屋のドアをノックする音が聞こえた。

「あ、凛太朗だ!」

星矢君のその言葉に私は心が萎えてしまう。
凛様の顔を見れないし、見たくない。

「どうですか~?
頑張ってますか~?」

凛様は清水さんが持ってくるはずの飲み物とおやつをお盆に載せて、ふざけながら入って来た。

「凛太朗も一緒にやろうよ」

星矢君は本当に凛様が好き。
凛様の首に手を回して、すぐに抱っこをせがむから。

「何やってたの?」

凛様は星矢君にも私にもそう聞いてきた。
私は家庭教師の仕事を忘れたわけではない。
凛様の見ている前で、星矢君に“In english,please”とお願いする。
すると、星矢君と凛様までも、嬉しそうにOKと親指を立てた。

そこからは、凛様と星矢君のお笑いライブを見ているようだった。
可笑しくて楽しくて、お腹がよじれるほど笑った。