シンデレラは騙されない



私がリビングに顔を出すと、星矢君が一目散に駆け寄ってくれる。

そんな星矢君に癒されながら、私はその場にいる凛様とお手伝いの清水さんにきちんと会釈をした。

「星矢君、ご飯を済ませたら、一緒に勉強しようね」

星矢君は可愛い顔でうんと頷いた。
私が自分の部屋へ行こうとすると、星矢君が私に声をかける。

「先生も一緒にご飯を食べるんだよね?」

私は星矢君の顔を見て首を横に振る。
星矢君の家族が夕食の時間に居る場合は、私は厨房の食堂で清水さんと一緒に食事を取る事になっている。

「今日は凛様がいるから、先生は後でいただきますね。
気を遣ってくれてありがとう」

私はそう言って、星矢君の頬を撫でた。

「え、一緒に食べようよ。
そんな差別は俺は好まないし」

遠くで凛様の声がする。
……いいえ、凛様、ここは差別してください。

「いや、それはちゃんとした決まりですので」

私は凛様と目を合わせずにそう言った。

「清水さん、じゃ、今日はここで皆で食べよう。
清水さんの分も麻里先生の分も、ここに準備してください」