シンデレラは騙されない



すると、綾さんが面白がって星矢君に話の続きを聞いてみる。

「そしたら、凛太朗は何て言ったの?」

星矢君は不満そうに鼻をふんと鳴らした。

「考えときますって」

綾さんはケラケラ笑っている。
でも、私は笑えない。
披露宴に600人は招いていると聞いている。
そんな、あり得ない…
ダンスなんて、絶対無理…

その日の夜、私は凛様にその事を聞いてみた。
私は絶対に踊れないからと、前置きをして。

「でもさ、俺達のこの結婚に星矢は功労者なんだ。
星矢がいなかったら、どうなってたか分からない。
そう思うだろ…?」

そうは思うけど…
私は泣きそうになる。

「星矢が泣いて踊ってって言ったら、踊るしかないよな…」

私は凛様の手を握った。

「凛様、星矢君を説得して。
踊らなくても麻里先生は十分幸せだし、シンデレラみたいな気分になってるって」
 
凛様はちょっと納得いかない顔をしている。
もしや、まさか、踊る気満々なのは凛様なの??

「あのプロムの夜さ…
麻里はジャックと楽しそうに踊ってたよな。

実は、あの時、俺はそんな二人を遠くから見てたんだ」

「でも、無理だよ…
結婚式で踊るなんて絶対に無理…」

凛様は口を尖らせて、拗ねた風に私を見る。

「無理だよ、無理…
絶対、無理だからね…」