「そしたら、凛太朗がね…」
綾さんは涙を拭いながら、自分の言葉で話し出した。
凛様を見て、そして私を見て、やっといつもの穏やかな笑みが綾さんの顔に戻ってくる。
「凛太朗が、私達を救ってくれたの…
麻里先生との結婚は、損得でしか考えられない私達のねじ曲がった思考ではやっぱり容認できなかった。
麻里先生には悪い事をしたと思いつつ、でも、老舗と呼ばれている会社も守らなきゃいけない。
私も母もそんな葛藤の中で、苦しんでた。
凛太朗の結婚で、会社に一つ大きな柱を作る事ができる。
私達はそんな事ばかり考えていたの。
でもね…」
綾さんはまた凛様を見つめる。
凛様は泣いてばかりいる綾さんに、わざとらしく大きなため息をついた。
綾さんはハンカチで涙を拭いて、また話し出した。



