私の涙声に、凛様は優しく微笑んだ。
「別れてもないのに、そんなに痩せて…
本当にバカだな、麻里は…」
凛様はそう言うと、私から目を逸らし真っ直ぐに外の景色を見る。
まるで、溢れ出る涙を必死に堪えるように
「でも…
でも、凛様…
私達は、結婚はできないんです…
永遠に、一緒に居られないのなら、私は一緒にいたくない。
そう思ったから、私は、あの家を出て行った…」
あの日の夜の場面が、私の頭を占領する。
あの時に出て行ってしまった自分が本当に嫌いで許せなくて、そして、凛様が本当に可哀想で、何度も後悔して毎日泣いた。
あの夜の虚しさを思い出してまた泣きそうになる。
「麻里… 覚えてるか?
俺は麻里を絶対に離さないし、必ず幸せにするって約束した事を」
私は小さく頷いた。
忘れるはずなんかない。
凛様が私に囁いた愛の言葉は、私の大切な宝物だから。
「そう、だから…
必ず幸せにできるって思ったから、今、迎えに来た。
ごめんな… 遅くなって」
「え…? でも…」



