「麻里ちゃん、友達として言わせてほしい。
ご飯はちゃんと食べる事。
食べたくなくても、無理にでも口に入れなきゃダメだ。
それができないんだったら、こうやって、毎日、麻里ちゃんを仕事先まで迎えに行くぞ。
ご飯を食べさせるためだけに。
それは嫌だろ?」
私は微笑みながら頷いた。
平塚さんは本当にいい人…
でも、凛様には敵わない…
凛様の笑顔と愛の言葉が、こうやって、どんな時にも頭の中に浮かんでくる。
その度に、私の胸は締め付けられて、精神が不安定になる。
凛様、ごめんなさい…って、心の中で謝り続けるだけ…
「麻里ちゃん、一ついいニュースを教えてあげる。
星矢の事だけど、第一志望の学校に合格したって。
綾が…
もし、麻里先生に会う事があるのなら、伝えてほしいって。
本当に本当にありがとうございましたって」
星矢君が合格した…
私は嬉しいやらホッとしたやら、少しだけ笑みがこぼれる。
「よかった…」
涙ぐむ私を見て、平塚さんも目に涙を浮かべている。
「麻里ちゃん、また、一緒に食事をしよう。
今度はもっと美味しいお店に連れて行くから。
いつがいい?
もう日程を決めておくぞ」
もし、私にお兄さんがいたらこんな感じなのかな?なんて、ちょっとだけ平塚さんにそんな感情を抱いたりした。
でも、愛するのは凛様だけでいい…
凛様を愛さない日々は想像できない。
きっと、おばあちゃんになって命が尽きるその日まで…



