「斗真…
ごめんね…
大事な時期に、変な心配させて…
でも、今のお姉ちゃんには、斗真が夢に向かって頑張っている姿が一番の薬なの。
斗真の力になりたい。
そう思うだけで力が湧いてくるし、元気になる。
お姉ちゃん、ちょっと色々あって今はまだ落ち込んでるけど、でも、もう少ししたら元気になるから。
だから、心配しないで大丈夫。
斗真は自分のやるべき事だけを考えて、ね?」
斗真は悔しそうに頷いた。
でも、すぐに、笑顔になる。
「絶対に合格するから。
そしたら、お姉ちゃん、もっと笑顔になれるよね?」
私も笑顔で頷いた。
斗真やお母さんの愛情にしがみついて、必死に生きていたあの頃。
でも、時の流れは、私の傷を中々癒してくれなかった。
そんな中、二度ほど平塚さんと会った。
斉木家の人に私の新しい職場の名前を聞いたのか、ある日、そのビルの近くで私を待っていた。
明らかに痩せてやつれた私を見て、平塚さんは言葉を失っていた。
そして、その日は、強引に食事につき合わされた。
きっと、私に美味しい物を食べさせたいだけ。
平塚さんの優しい眼差しから、その理由はすぐに読み取れた。



