シンデレラは騙されない



「凛様は… こんな私と…
結婚を……」

凛様の笑顔で私の頭の中はいっぱいになる。
俺だけを信じて、という凛様の言葉が、パニックになった私の心と頭に響き渡る。

「麻里先生、それはできないの…
酷いと思うかもしれないけど、そこは分かってほしい。

あなたの事は大好きよ…
凛太朗が麻里先生に惹かれたとしても、それは納得できる。

でも、辛いけれど、凛太朗の事は忘れてほしい。
あの子は、自分の将来から逃げる事はできないの。

特に、今、会社に携わり始めて、凛太朗の才能を感じている。
あの子は、このグループを指揮していく人間。
あの子次第で、何百人もの従業員とその家族が路頭に迷ってしまう。
それくらい、これから先の、凛太朗の未来に全てがかかっている。

本当にごめんなさいね…
あなたが一番辛いのに…」

会長の目にも涙が潤んでいた。
私はうなだれたまま、何度も頷く。

「もう、とりあえず、今日はこれでおしまいにしましょう」

そう言って立ち上がったのは専務だった。

「お互いの言い分は分かったわけだし、今度は、麻里先生のこれからをちゃんと考えてあげないと。

凛太朗君の事は綾に任せるよ。
麻里先生は、これから、ちょっと場所を変えて話そう。

お義母さん、それでいいですね?」