凛様は真剣な目をして星矢君を追い詰める。
星矢君はまだ五歳なのに。
「俺はそうは思わないな」
もう星矢君は凛様マジックに掛かってしまっている。
だってワクワクした目で凛様の答えを待っているから。
「悠馬さんと結婚したら、麻里先生はこの家には全く来なくなるんだぞ。
だって、悠馬さんの家族になるんだから。
悠馬さんって優しそうに見えるけど結構厳しい人だから、麻里先生がこの家が遊びに来る事は許してくれないだろうな~」
星矢君は泣きそうな顔をして私を見る。
星矢君が私を慕ってくれている事は手に取るように分かるけど、でも、そんないたいけな気持ちを利用する凛様は良くないと思う。
私が何か言おうと身を乗りだした時、凛様が先に口火を切った。
「星矢、いい考えがあるんだけど、聞きたい?」
私はとりあえず凛様のそのアイディアを聞く事にした。
星矢君も凛様の膝の中で凛様に視線を合わせて、真剣にその言葉を待っている。
「俺と麻里先生が結婚するってよくないか?
そしたら、俺達、皆、家族になる」



