綾さんが揃えてくれたお受験のためのグッズを使って、星矢君は今も遊びながらお勉強をしている。
一つ一つの積み重ねが星矢君の自信となる。
私は一分一秒も無駄にしないように、星矢君のために全力を注いだ。
そして、お勉強の時間が終わる頃、凛様がひょいと顔を出した。
さっきの厳しい顔じゃなくいつもの穏やかな凛様の顔に、私はちょっとだけ胸を撫で下ろす。
星矢君はすぐに凛様の膝に座った。
凛様はそんな星矢君の頬に自分の頬をこすりつける。
「星矢はさぁ、さっき、ヤバい事言ってたよなぁ」
凛様は意地悪な目をして星矢君にそんな事を言う。
「何?」
「麻里先生と悠馬さんが結婚してもいいよ、とか、何とかさぁ」
星矢君はハッとして私を見た。
子供ながらにヤバい事を言っちゃったみたいな罰の悪そうな顔をして。
「もう、全然、いいのよ。
凛様は意地悪で言ってるだけだから」
星矢君は少し安心したみたいに、凛様の顔を見上げてみる。
「星矢は本当に麻里先生が悠馬さんと結婚していいと思ってるのか?」
「……だって、お母様もおばあちゃまもその方がいいって言うんだもん」



