「麻里ちゃん、ごめんね、また突然に、それも斉木家の電話にかけちゃって」
私は首を振りながら、大丈夫ですと言った。
「明後日の土曜日の夜なんだけど、空いてない?
どうやら僕達はお見合いをしている事になってるみたいだからさ、一度くらいは会っておかないと」
私は会長の視線を感じ、そっちの方へ顔を向ける。
すると、会長は何も聞こえていないはずなのに、うんうんと頷いている。
「…はい、大丈夫です」
私も会ってちゃんと断りたい。
今は誰ともつき合う気はないと。
「よかった…
じゃ、夕方の五時に斉木家まで迎えに行くよ」
「あ、いや、それは…
私、電車で待ち合わせ場所まで行きます。
どこへ行けばいいですか?」
「そっか…
そうだよね、気を遣っちゃうか。
分かった、じゃ、モーリステイラーホテルのロビーに18時でいい?」
モーリステイラーホテルって、最近できたばかりの予約が取れない事で有名な最高ランクのホテルだった気がする。
「はい、大丈夫です…」
私は小さくため息をついた。
どういう洋服を着て行けばいいのだろう…
そんなやりとりを続けていると、星矢君が私の隣で平塚さんと話したがっている事に気付いた。
私が、話す?と目配せすると、うんと笑顔で頷く。
私は平塚さんにそう説明して、星矢君に受話器を渡した。



