「はい、了解しました。
今日から星矢君のために頑張らせていただきます。
どうぞよろしくお願いします」
私が深々と頭を下げてそう言うと、会長も綾さんもそんな私を見て優しく笑ってくれた。
根っからのお金持ちで由緒正しい家柄で育った人達は、いつも穏やかで慈悲深い。
私はそんな温和な空気感に胸がいっぱいだった。
「ねえ、お母様、凛太朗はいつ帰ってくるの?」
凛太朗??
綾さんは会長と顔を見合わせて、静かにため息をついた。
「星矢と凛太朗の約束は、何だった?」
星矢君は泣きそうな顔をして、お母様の綾さんの膝に顔を埋める。
「今日、帰ってくるって言ってた。
お母様が出発する日には、ちゃんと帰って来るって」
会長はリビングにあるアンティーク調の大きな時計を見て肩をすくめた。
「星矢、凛太朗は風みたいな人だから、忘れた頃にひょっこり帰ってくるから心配しないの。
大丈夫よ。
おばあちゃまは、嘘は言った事はないでしょ?」



