「凛様ってずるい…
そうやって私の方からキスをさせるんだから」
今度は凛様がクスっと笑った。
「ずるいのはおあいこだよ…」
その一言で私達はまた奈落の底へ落ちる。
凛様のキスを私は待ち焦がれていた。
キスをしてあげてるふりをして、本当はキスがほしくてたまらなかった。
満月の月は、こんな私達をどう見ているのだろう…
この満月だっていつかは欠けてしまうように、私達の綱渡りのような恋にもいつかは終わりが来る。
それは、すごく悲しい事だけれど……
凛様は相変わらず自分のペースで毎日を過ごした。
でも、私との約束はきっちりと守ってくれている。
家の中では、星矢君を中心に時間を費やして、自分達の事は後回しにした。
そして、私は凛様の本物の優しさを随所に感じて、またより一層凛様を好きになる。
穏やかに笑っている心の中は、きっと私と一緒でやり切れなさでいっぱいのはずなのに。



