「……するいよ、麻里はずるい」
凛様の切ない言葉は私の涙を誘った。
私って本当にずるい…
凛様は私の首元に顔をうずめた。
抱きしめるふりをして、私に抱きしめてもらっているように。
「星矢の事を言われたら、俺が何も言えない事を麻里はちゃんと知ってる。
知っててそんな事を言うんだろ…?」
真昼の月のように自分の居場所を見つけ出せずに生きてきた凛様…
私が、もし、本当に凛様の居場所だとしたら、凛様は私なしじゃ生きていきない。
「じゃ、俺とも約束をしてほしい…
星矢の受験が終わったら、俺達の事をちゃんと家族に話す」
「でも、認めてくれないよ…
凛様の結婚相手は、それは私じゃない。
結婚は考えないで…
ただのお付き合いにしよう。
私はそれで十分だから…」
私を抱きしめていたはずの凛様が、ぷいっと歩き出した。
煮え切らない私の態度に腹を立てたのか、振り返らずに小さな街灯の下まで歩きそこで立ち止まる。
「麻里、来て」



