シンデレラは騙されない



食事を済ませた私は、自分の部屋へ戻った。
凛様は星矢君とのお風呂を済ませ、今はきっと星矢君のベッドで優しく子守歌を歌っている。

私は静かに目を閉じた。
今、自分がやらなきゃいけない事を声に出して何度も復唱する。

11月から始まる星矢君のお受験に何も考えずに集中する事。
星矢君の合格を見届けたら、この仕事を辞めさせてもらう事。

そして、この家との縁を断ち切る事…

でも、だからといって、全部を正直に凛様に伝える事はしない。
星矢君の受験に集中する事だけを伝えたい。
きっと、心が優しい凛様なら、ちゃんと理解してくれる。
星矢君を愛する家族として、それはとても大切な事だから。

私は時計を見た。
凛様と約束したあの公園に行くにはまだ時間が早いかもしれないけれど、でも、今、この時間を逃したらまた行くのをためらってしまう。

私は清水さんにコンビニへ行くと告げて、厨房の方のドアから外へ出た。