シンデレラは騙されない



星矢君は小さな声ではいと言うと、渋々凛様の膝から下りて私の元へ来た。
凛様の様子は分からない。
それは、怖くて見る事ができないから。

こんなに早く凛様の耳に入ってしまった事は想定外だけれど、でも、案外その方が良かったのかもしれない。
私は無理やり自分にそう思い込ませた。
前向きにならなきゃすぐにでも逃げ出したくなるから。

私は星矢君を連れて、リビングを後にした。
その時にちょっとだけ凛様の姿を目で追った。
凛様は悩まし気な厳しい顔をして、どこか一点をジッと見つめている。
私はすぐに目を逸らした。
そして、星矢君の部屋へと急いで向かった。

星矢君のお勉強を見ている間にも、下のリビングの状況が気になってしょうがない。

専務がいるから大丈夫…
凛様の怒りをきっと和らげてくれるはず…