シンデレラは騙されない



そのビルの10階にある小さなカフェはランチタイムで混雑していたが、私達が店に入ったと同時に奥の二人席のテーブルがタイミングよく空いた。

私はざっと店の中を見回して、知っている人がいないか確かめる。
とりあえず誰もいない、私の知っている限りだけど。

いつものランチプレートを二つ注文した。
すると、五分もかからずにそのプレートはテーブルに載った。

「早いな」

「この時間は皆時間がない人ばかりなので、お店の人も工夫してるんです」

凛様は本当に何も知らない。
学生時代をアメリカで過ごしているし、その後は自分のペースでしか物事を考えていないし動いていない。

だから、なおさら放っておけないと思った。
母性本能なのか生真面目な私の性格からなのか、凛様の力になりたいと改めて思ってしまう。

二人でパスタを食べながら、私は凛様をジッと見る。
そんな私の視線を凛様が気付かないわけがない。

「何? 何か俺の顔についてる?」

そんな風に言う凛様は本当に可愛らしい。
見た目はクールなイケメンなのに、美味しそうにパスタを頬張る姿はやっぱり星矢君に似ていて愛さずにはいられない。