凛様の背後から私がそう声をかけると、凛様は気付いているように振り返った。
そして、まだ先を読みたかったみたいな残念そうな笑顔でレジへ向かい、そのジャンプを購入した。
私の胸はその姿にまたキュンキュンときめく。
ギャップって本当に恐ろしい位に心を鷲づかみにする究極のアイテム。
私はまんまとその罠にかかっている。
「どこ行く?」
凛様は疲れて見えた。
慣れない会社の仕事にグッタリしているみたい。
「このビルの10階にあるカフェのランチが美味しいんです」
HAKASEのビルの正面にあるこのビルは、見た目は古いけれど、お洒落なショップや美味しい飲食店が入っている穴場のビルで、そして幸いな事に、HAKASEの人間はあまりこのビルを訪れない。
「OK、麻里に任せる」
凛様は私の横に並んで当たり前のように歩き出した。
「凛様は、お昼は何時までですか?
14時まで?」
歩きながら私がそう聞くと、凛様は首をすくめて知らないと言うジェスチャーをする。
「え?
誰かにランチに行くって言ってきました?」
「言ってないよ。
それに、この時間に居なくなったら昼ご飯って分かるよ、普通」
私は何も言えずに下を向いた。
あ~、何だか変な事が起こらなきゃいいけど…
でも、こんな時の嫌な予感はいつも的中してしまう。
悲しいけれど…



