苦くて甘いビターチョコといちご

美恋side

颯太さんがお茶入れに行って
一気に静けさだけが残った
教科書などは本棚に、颯太さんもある程度手伝ってくれて早く終わった
ママ達との写真は、ミニテーブルに置いて床に座る
「、、、ママ、パパ、私、頑張るよ」
写真をなぞり颯太さんを探す

「颯太さん?、、、颯太さーん」
どこにいるのかわかんなくて名前呼びながら廊下を歩く
フローリングの冷たさが靴下を通って伝わってくる
「あれ?白雪姫!どうしたんですか?」
「琥太さん!」
ひょこっと和室から顔を出てきた
姫って柄じゃないし、姫は辞めてくれないかなーなんて思いながら
颯太さんの居場所を聞く
「たぶんリビングっすかねー」
って、教えてくれたけど、勝手に襖や扉を開けるのも申し訳ない。
「琥太さんありがとうございます」
颯太さんを探しにまた歩き出すと
中庭に面してる縁側に着いた
"和"って感じの中庭で、
蓮の池に、ししおどしもある
そこを通り突き当たりまで来た
あれ?
どこだ?迷子だわ、、
部屋に戻って行くと颯太さんが部屋の前にいた
「いた、」
「颯太さん探しに行っちゃいました」
「荷解き終わったか?」
「はい」
「お茶入ったからおいで」
さっきまで歩いた廊下を颯太さんに背中に手を添えられ並んで歩く
「ここは客間、よく琥太いるから、
足とかに使っていいぞ」
さっき琥太さんが顔だしてきたとこだ
「白雪姫の為ならいくらでも車出しますよ!」
「おめぇ洗車終わったのか」
少しシャツが濡れて玄関から声出してた
「そのまま天日干しして来いよ」
「さすがに干からびるっす、」
「バカ服乾きゃいいんだよ」
2人のやり取りが面白くてクスクスと笑える
「美恋も部屋の場所覚えねぇといけねぇからなぁ、」
部屋を一つ一つ教えてもらい、最後にリビングに
「で、ここがリビング」
「やっぱり広いですね、早く覚えれるように頑張ります」
「おう」
「お茶持ってきました」
トレーに急須と湯のみ、お茶菓子を乗せて運んできた人
見たことない、
「そんな見られたらさすがに緊張するんですけど、」
ガン見してたらしく横で颯太さんがクスクス笑ってる
「あ、ごめんなさい、」
「初めてお会いしましたからそうなってもおかしくないです。
俺は 日向 龍です。お嬢さんのことは、颯太さんから聞いております。
気軽に龍と呼んでください」
龍さんは、こげ茶の髪で、短髪、細身
顔もモテそう、
「龍さん、よろしくお願いします」
「呼び捨てで呼んでください、
じゃないと俺も白雪姫って呼びますよ?」
「ひっ!、分かりました!」
そう言うとニコッと笑ってる
「ほら美恋、ソファ座れ、」
ぽんぽんと颯太さんは自分の横を軽く叩いている
大人しくそこに座ると龍さん、
龍が、お茶を注いでくれた
「そんな緊張する事ねぇよ、
龍はお前の1つ上だし、お前と同じ学校だ。学校の中でなんかあったら龍に言えばいい、歳も近いし、俺に言えないことも言えるかもしれねぇし、龍の親も俺の事務所にいるから。」
ぽすっと私の頭の上に手を乗せてきた
「颯太さんはこう見えて心配性で、
お嬢さんに拒否られないか心配なんですよ」
龍がニコニコと笑って颯太さんに
ねーって言ってるけど、、、
颯太さんの顔を少し覗き込んで見ると、
瞳が不安そうに少し揺れていた
響也さんにおばあちゃん家に行くか、颯太さんのとこに行くかの話の時に、
話された

『あいつの職業の事は知ってるよな?俺ら警察とは真逆のヤツらだ、
まぁ俺らとは紙一重、俺なんて颯太と同じような事もするからあいつの気持ちは分かる。あの手で、何人、何十人、何百人殴って、どれだけの組を潰してきたか、君のその綺麗な手とは違うんだ。あいつを恐いって思う時が来るかもしれない、そういうことをしてきているんだ。それでも、』

響也さんの言葉を思い出した

「颯太さん、私は嬉しいですよ。
颯太さんのおかげでこうやって笑える今の私がいるんですよ」
頭の上にあった颯太さんの手を掴んで、私の膝の上に持ってくる
「響也さんから聞かされました。
この手で、何人もの人達を殴ってきたことも、、でもその分どこかで救われてる人もいるんです。
颯太さんに出会って、改心された方達もいたって、。
私も、この手に助けていただきました。
この手に、颯太さんに。
この手が怖いなんて思えません。
ゴツゴツしてて大きい手は、私をいつも助けてくれた優しい手です」
ぎゅっと握るとぽたっとローテーブルから音がした
颯太さんの顔の下に雫が落ちていく
覗き込むと片方の手で口元抑えて、
目から涙を落としていた
「美恋、ありがとな、」