『やだよ、離れたくないよ』
ほんとは海斗の一番の理解者でなきゃいけないのに。
ワガママ言うあたしを海斗は優しい眼差しで。
『そっか』
って言ったんだ。
でもね、じゃあ行かないでおく、とは言わなかったんだ。
『本気なんだね、海斗は』
不意に漏らした言葉に、海斗はちょっと驚きながらも、うんって言った。
『いろんな世界を見てみたい』
その目は輝いていて、眩しくて。
それがとても嬉しくて。
寂しいはずなのに、なんでだろ、とっても嬉しかったの。
あたしはこの顔を見れて、幸せだって思えた。
幸せって思わなきゃって思った。
だから、背中を押した。



