「ヒャッ!…」
目の前にぬっと出てくる、あの男。
あたしが今日その存在を消したくて、消したくて消したくてたまらなかった、あの男。
なんで、なんでいるの。
「なんでいるのって思った?」
ニヤリと笑う。
気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い!
鳥肌がゾワっとたつ。
「あいつ、誰?」
海斗が怪訝そうに、顔をしかめた。
「……っあの、人は」
「俺が恋人なんだ〜あんたこそ誰?邪魔なんだけど」
「真帆……?お前二股してたのか?」
「違うっ!あの人は、彼氏なんかじゃない!あの人は……」
あたしの、何?
あたしのなんなんだろう、なんていったらいいんだろう?
告ってきた人?
「そっかあ、まだいいよって言ってないもんね?ねえ、真帆?…いいよって言うよね?」
抱き寄せるその男。
「や、やめて!」
気持ち悪いの、悪寒が走る。
ブルブルと勝手に体が震える。
止めようと、止めようとなんだも思っても止められない。
怖い、怖いよ…、海斗。
この1年間、あたしは結局大して強くなれなかったんだ。



