1年前の海斗がアメリカに行く時。
1日一回、30分だけ。
電話をする約束を取り付けた。
それを海斗は必ず守ってくれて、あたしは嬉しかった。
でも同時に。
「ずっと罪悪感を感じて来たの、海斗があたしのために電話し続けてくれたの」
「なんで」
「海斗は多分気づいてないけど、電話越しにため息が聞こえてきた時があったの」
その、ちいさなため息のたびにあたしは、傷つき、悲しみ、不安になった。
そんな時期と、おじいちゃんが死んじゃったときが被ってしまって、どうしようもなかったの。
あなたに迷惑はかけたくない。
そんなにこと話したら、もっと彼は気を病んで、辛くしてしまうから。
「その時にお医者さんがね、あなたのおじいさんは世界で一番頑張っていましたよって言ってくれたの」
「世界で、一番」
そう、いろんな人を見てきたはずなのに。
おじいちゃんに一番をくれたの。
その場限りの言葉なのかもしれない。
でも、あたしにはそんな風に思えなくて。
だから、だから。
「ねえ、海斗。あたし、医者になるよ」



