「真帆」
「うん?」
「そろそろ帰ろっか」
ゆっくりと海斗が席を立つ。
「…うん」
もうちょっと浸っていたいけど、海斗は疲れてるしこれくらいだよね。
そして始まる、お会計バトル。
「払うよ。今日くらい」
「いやいや、俺が払うから」
「だめ!今日は海斗が帰ってきたお祝いなんだから!」
「じゃあ、割り勘な」
「なんでそうなるの!」
「俺の面子が保てないから」
「今日くらい、いいでしょ!」
「だめ」
「ケチ」
「ケチで結構」
「なんなの!もう!」
「あの、これでお願いします」
らちがあかないと思ったのか、はらりと店員さんに千円札を2枚見せて、渡してしまった。
「ちょっ!海斗」
掴もうとした、2枚の千円札は見事に店員さんの元に渡り。
「354円のお返しと、レシートになります」
354円とレシートが代わりに帰ってきた。
それを大きな手でグシャリと掴み取ると強引に小銭入れに押し込む。
あたしの入る隙間なし。
そのまま手を引かれて、かき氷屋さんを後にした。



