帰りに実家に寄って、交付された証明書を置きに行く。
鍵が開いたまま、誰もいない。
トイレや別棟を覗いても、誰もいない。
何かあったのか?
そこで父が道端を歩いているのを見つけた。
日に照らされた肌が黄色い。まるで今日交付された証明書みたいな肌の色だ。
母の行き先を訪ねると、夏に骨折した後のリハビリで病院に行ったと言う。
『保険証が無いっ』
朝に一悶着あったらしい。
「昨日、手続きで保険証必要だからって、持たせただろ?」
すっかり忘れていた母。
私も昨日、母が通院している病院には保険証を提出済みだと、母自身から聞いた。
「じゃあ、保険証は持ってくからね」
聞いてないのか、忘れたのかは定かではない。
そんな話を父としながら、帰りがけに『ちょっと待て』と呼び止められる。
父が手にしていたのは、鉄分入りのベビーチーズだ。
鉄分が数値30に届かない事を知っている父がくれた。
鉄分足りないのは、あんまり気にしなくていいんだって、お医者さんが言ってたよ?
だけど、せっかくだからチーズを握り締めて、帰宅。


