球場の最寄り駅まで着いた。

ここから20分歩けば着くのだけど … 。

「ここ、どこ?」

5分歩いたところで道がわからなくなった。
地図の通り歩いてきたのに。

三叉路を間違えたのか。

「どうする?!間に合わなくなるよ!」
「え!ど、どうする?!誰かにきいてみる?!」

とは言ったものの。
周りに人がいない。

「やばいって!一旦戻ろう!」


そう言って少し戻ったところでやっと人を見つけた。

「あの!すみません!」

「はい?」

優しそうなおじいさんだった。


「あの、△△球場に行きたいんですけど、どう行けばいいですか?」

「それはね、この坂を上がって、信号を左に渡ったら歩道橋があるから、そこをくぐって坂を登ったところだよ」

「ありがとうございます!」

「君たち、野球の応援に行くの?」

「そうなんです!」

「青春だね、しっかり応援するんだよ。勝てるといいね。」

「はい!ありがとうございます!」

優しいおじいさんに助けられて、私たちは球場に向かった。

20分で着くはずなのに、30分もかかってしまった。

でも、前の試合が長引いていてまだ始まってはいなかった。


「よかった、間に合ったね」

チケットを買ってスタンドに上がると、1年前に見た景色が広がった。