3学期が始まっても、在木先輩との距離は変わらなかった。

相変わらず、学校で話すわけでもなく、一方的に野球部が練習しているのを眺めてるだけ。

見ながら何を考えてるわけでもない。ただただ無心で眺める。それが私にとってはすごく楽しい時間だった。

春休みに入ってから、野球部はシーズンに入るために筋トレ中心の練習から、実践を混じえた本格的な練習へと変わっていった。

先輩たちにとって、最後の夏に向けての練習。みんなの顔つきが今までと違う。

一人一人が声を出して、ボールを投げて、打って、取って、走って。そんな野球らしい動きをする先輩に私はどんどんのめり込んでいく。

私たち陸上部も、本格的な練習が始まって、学校の裏山や、近くの陸上競技場に出かけることが増えた。

私たちの練習が学校のグラウンドであっても、野球部は近くの練習場に出かけることも多くなって、次第に野球部の練習を見る時間も減っていった。