みんなで電車に乗って学校まで帰った。

電車の中では、先生がいないことをいいことにみんな先生の提案にブツブツと文句を言い合っていた。

そんな中で私だけはワクワクしていた。

「いきまーす、よーい、はい」

準備をしてダラダラと話していたみんなが、マネージャーの声とともに一斉に静かになって体幹を始める。

野球部はというと、グラウンドにはマネージャーしかいない。野球部は今、マラソンに行っている。このマラソンは年末最後の練習日に、隣の市の運動公園から、走って学校まで戻ってくるというもので、野球部の恒例行事らしい。

「あ!」

先生がまた急に叫んだかと思ったら、野球部の人が1人走って帰ってきた。

その人は、私の隣のクラスの人。春の体力テストの長距離走も速かったけど、野球部で1番になるほど速いとは思わなかった。

「陽奈!すごいね、田辺くん!」
「ほんと!速い!」

トレーニングのカウントをする陽奈と驚きを共有した。

田辺くんを皮切りに、2年生の先輩たちも続々と帰ってきた。

在木先輩が帰ってきたのは田辺くんが帰ってきた30分後だった。

体幹も終わって、部室の前で学校に帰ってくる野球部をぼんやり眺めていたから、在木先輩にはすぐに気がついた。

在木先輩がゴールしたのを見届けて、私は部室に戻った。

「野球部全員帰ってきた?」
「うん、ちゃんと帰ってきたよ、私たちも帰ろう」

最後の部活も無事終わり、今年最後の先輩も無事に見て、陽奈と帰った。