「兄上の命を奪ったのはこれだ。」


「ラバル様を・・!?
しかし、ラバル様は確か・・・
肺の病だったはず・・。」


先代国王ラバル様・・・。


国王に即位してから1年足らずで突如病魔に倒れた先代が・・・まさか?



「・・・兄上が死んだ時、
主治医は死因を“肺の感染症”と診断した。

だけど僕はその診断に疑問を持った。

兄上は10歳の時、同じ病にかかりワクチンを以て完治したはずなのに。

体の中には抗体が出来ていたはずなのに。」


「・・そうだったのですか・・。」


「僕と、僕が信頼する数人のチームが極秘に兄上の死体を研究し、

このウイルスを発見した。

あらゆる書物を隅から隅まで読み漁ったが・・

この世界で初めて見つかったものだ。」



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「このウイルスに犯された者は突如として38度を超す高熱が出て、激しい頭痛,倦怠感に襲われる。」


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「下がらない高熱に次第に体の自由を奪われ、全身の水分を奪い取られ・・

そして兄上のように一瞬にして命を奪われる。」



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リバル様の話を聞きながら4枚目の研究資料をめくった所で、

信じられない言葉が私の目に飛び込む。



「体内での潜伏期間は3年~5年。
恐らく兄上は最初の発症者だった。

そしてこの先、

既に体内にこのウイルスが侵入しているであろう多くの人々が発症していく。」



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「僕達は研究を重ね、感染源を突き止めた。

このウイルスは人から人へは感染しないが、
ある媒体を通して人に感染する。」