学習院に通っている頃、

リューマは何故か皆から“良し不”と言われ恐れられていた。


“良し不”は「乱暴、素行が悪い」
といった意味の差別用語。


こんな優しい親友を何でそんな風に呼ぶのかと僕も腹が立っていたけど、

確かにリューマは学習院の中で誰よりも強くて、体術の授業ではいつもトップの成績。

・・・僕はその分、座学でリューマに勝っていたけど。



「マコト、それよりおばさんの体調は?」


「うん。最近は調子も良いよ。」


「そっか。」


「もう少し良くなったらリューマもまた家においでよ。お母さんも喜ぶから。」


「そうする。」




茂みを抜けて、

真っ赤な夕陽と一帯の砂漠が見れるここは僕とリューマのお気に入りの場所だった。


今日もしばらくそこで雑談を楽しんだあと家へと戻った。





第1章 完