スケッチブックをめくっては、
そこに書き込んで俺に見せてくる。
若干のタイムラグがありながら、
キッカワとの会話は進む。
イズミをソプラノへ送り届ける事、
テナーからこの山へ逃げ込んできた事、
ここまでの経緯を簡単に説明した。
<下界ではそんな事が起きていたのか。>
「下界って・・・。キッカワはずっとここで生活しているのか?」
<1年に1度くらい、
必要な物資を買いに街へ降りるけど、
もう4年はここで1人で暮らしてる。
この小屋も自分で造った。>
「・・なんで・・?」
「・・・・・・・・・・・・・。」
ペンを持つキッカワの右手が止まる。
「・・・・。」
<とにかく、エイダ氏が起きたらさっさと出てってほしい。>



