「・・・・・リューマです。
助けてくれてありがとう。」


「・・・・・・・・・・。」



イズミだろうが俺だろうが、
やっぱり目を合わせてくれない。


一瞬こちらに顔を向けたけど、
また俯いたまま、

手に持っていたスケッチブックに何かを書き込む。



<刀はベッドの下に置いてある。>


「君は・・言葉が話せないのか?」


<耳も聞こえるし、言葉も話せる。>


「じゃあ・・・。」


<話せるけど、喋りたくない。>


「そうなのか・・。」


<こんな所にどうして来た?

お連れのでっかい女の人は怪我を負っていたし、君もあんな物騒な物を持ち歩いて。>


「イズミから聞いてないのか?」


<突然誰かがやって来たと思ったら、

玄関の外に立っていたあの子が否応なしに僕に助けを求めてきた。

こちらが質問する間もなく、
“助けてくれ”と懇願され、

君たちが倒れていた場所まで連れていかれ、ここへ担いでずっと手当てをしていたから、

まだ名前ぐらいしか聞いていない。>