第14章 Eida        リューマ






時折ガタガタと揺られながら、
馬車はテナーへと向かっていく。


ふと対面に座っていたイズミを見ると、
いつの間にか眠ったようだった。


エイダの手を握りながら、その肩に全て委ねるかのように身を寄せて目を閉じている。


「こんな悲しそうな寝顔、初めて見た。」


「・・・・・王宮で捕らえられ、
あの惨劇があって以来、イズミ様が心安まって眠ることはなくなった。」


街と家族を守る為に父親が命を投げ出して、自分を逃がす為に母親が犠牲になった。


イズミも王によって人生を狂わされた1人・・・。