あのあと時間もギリギリになってしまい、急いで教室に戻った。


「おかー」


「うん、ありがとう、凛子」


同じクラスでもある凛子が手を振る。


「ねー!

今日木下くん教室に居なかったんだよ!?

信じられる!?」


木下くん。


そう聞いて思い浮かぶのは、さっにまで会っていた口の悪い木下さん。


凛子の言う彼とは別人だって分かってるけど、やっぱり少し意識しちゃう。


「花音?

どったの、ぼーっとして」


「ううん、なんでもない」


「...さては好きな人でも出来た?」


「ち、違うよ!」


凛子の問いかけに、なぜか少しドキッとした。


「怪しー」


凛子の目を笑って誤魔化すと、タイミング良くチャイムが鳴った。


授業は自習になり、各々好きなことをしていた。


私は生徒会でやることを書き出している。


授業終了のチャイムが鳴り、小さく息を吐いた。


「お疲れ、花音!

ねぇ、このあと買い物行かない?

木下くんにプレゼント買いたくて」


「あ...ごめん、凛子。

今日はちょっと予定があって...」


「あー、そっか。

分かった!

また今度付き合ってね!」


「うん、分かった。

また明日ね」


「はーい、ばいばーい」


花音に手を振り、教室を出た。


寮に帰り、荷物もそのままに共有スペースに向かう。


教室から一直線に寮に帰り、右手側に男子寮、左手側に女子寮。


その中間に共有スペースがある。


「えっと...着きました、と」


手早くメッセージを送信して、木下さんを待つ。