「あんたもかよ...。

で、生徒会長さんが俺になんの用?」


「あの......ごめんなさい」


女の子だと間違えていたことを謝る。


「別に、慣れてる。

いいから早く用件」


「あなたの借りてる本を...少し貸して欲しい...です」


「本?

あぁ、あれか」


「生徒会で使う資料をまとめるのに必要なんです。

返却期限まで待つと、締切に遅れてしまって...。

だから、先に少しだけ、貸してください...!」


ギュッと目を瞑り、頭を下げた。


「...別に貸してやっても良いけど」


「ほんとですか!」


嬉しさと、安堵で顔を上げる。


「あぁ。

でもタダでって訳にも行かねぇな」


「お金ですか...?」


生憎今はお財布を持ってない。


「ちげーよ。

ま、でも終わってから貰うわ」


「はい、奮発します!」


だから金じゃねーって、と苦笑される。


「でも部屋にあるから、あとで届けるわ」


「あ、いえ。

借りるのは私ですし、私が取りに行きますよ」


そう伝えれば、木下さんの眉間にまたシワが寄った。


「あっそ。

共有施設着いたら連絡しろ、迎えに行く」


「え?でも...部屋番号教えてくれたら1人で行けるよ?」


流石にそこまで手を煩わせるのは...。


「煩ぇ。

女が1人で男子寮歩いて平気だと思ってんのか?

案内してやるっつってんだから素直に頷け。

ほら、連絡先」


「あ、うん」


木下さんに言われるがまま携帯を取り出し、連絡先を交換した。


せっかく格好良いのに口悪くて...。


でも、意外と優しい。