「酷いって、何があったの?

あんなに彼のこと好きって言ってたじゃない」


恋愛初心者の私にはさっぱり分からない。


「好きは好きだよ?

今でもすっごく。

でも聞いてよ、あいつ、あたしになんて言ったと思う!?」


「え?えーっと...可愛い...?」


「違うの、そういうんじゃなくて!

ブスって言ったの!」


ムカツク、と紅茶を一気に飲み干した。


それでも凛子の勢いは止まらない。


「あんな性悪男のことが好きな自分にもムカツク」


紅茶お代わり、とカップを差し出す。


「照れ隠し...なんじゃないかな?

ほら、凛子可愛いし」


2杯目の紅茶を差し出した。


「また花音はそういうこと言う...。

可愛いのは花音の方なんだからね!?

いい加減自覚しないと喰われるよ!?」


「美味しくないと思うけど...」


「だーっ、そういうことじゃなくて!

もう良いわ...」


呆れた表情をして、紅茶に手をつけた。


凛子が夢中になっているのは木下くん。


下の名前も教えて貰ったけど忘れちゃった。


確か1学年下の2年生。


凛子が言うに、学校1のモテ男らしい。


「なんだかんだ言っても...やっぱり好きなの。

諦められない」


「そっか」


「話聞いてくれてありがと!

スッキリした」


「ううん、話聞くぐらいしか出来ないけどいつでも頼って?」


「ありがとー、花音!」


一通り吐き出して楽になったらしい凛子は、先程までとは打って変わって笑顔になった。


それから日付が変わる頃まで話して、その日は凛子が部屋に泊まった。