ガタンガタン・・・ガタンガタン・・・

( く、苦しい・・・っ )

規則的に電車が揺れる度、通勤途中のサラリーマンやらに押し潰されそうになる。

これからは毎日こんな電車に乗らなきゃいけないのかぁ・・・。

流石に気が滅入っちゃうよ。

「 おい、大丈夫か? 」

すぐ近くにいた蒼が、さり気なく心配してくれる。

「 あ、うん。ちょっと苦しいけど大丈夫だよ 」

あーあ。こういう所は良いのに。

でも、私に対してだけ毒舌なんだよね。

なんで、?!

もしかして、蒼って本当は私の事嫌いだったりして・・・?

考えれば考えるだけ、どんどん不安になっていく。

「 ・・・た、日向! 」

「 はいっ?!な、なに?! 」

「 いや、何じゃねえし。着いたぞってさっきから言ってるんだけど 」

どうやらさっきから何度も名前を呼ばれていたらしい。

「 ご、ごめんっ!早く降りなきゃね 」

少しの隙間を半ば強引にすり抜ける。

やっと電車の出口から出たかと思いきや、蒼がいない。

「 あれ?蒼ー?どこ行っちゃったの? 」

辺りをきょろきょろ見回して姿を探すけど、どこにも見当たらなくて。

すると、ほっぺたに冷たいものが触れた。

「 っひゃ?! 」

「 驚きすぎだって。ほら、これやる 」

振り向くと、蒼が缶のジュースを差し出していた。

「 これ、買いに行ってたの? 」

「 うん、電車ん中暑苦しかったし? 」

私のために、買いに行ってくれたんだ。

素っ気ない優しさが蒼らしくなくて、急に恥ずかしくなる。