あれから毎日勉強会をした。
相変わらず、さくらと田中くんの口論付きだ。
そして今日はテスト返却日。

「陽菜!見て!赤点免れた!!」

そう言って点数を見せてくる、さくら。
左から国数社理英の順で持たれ、点数は、51、59、60、53、52となんとか赤点は免れたらしい。

「凄いよ、さくら!頑張ったね!」

「うん!」

そして、田中くんもなんとか赤点を免れたらしい。





帰りにマックに寄って、お疲れ様会をした。
ちなみに、田中くんと高橋くん、私の点数は左から国数社理英の順に。
田中くんは、52、68、50、59、51
高橋くんは、73、81、71、85、79
私は、86、70、81、77、76だった。

「湊も鈴木さんも頑張ったな!」

「ふふん!」

「よし!これで夏休み遊びまくれるぞ!!」

「ふふっ」

今年の夏は楽しくなりそう。
なんて密かに思ったが、あっと思い声を出す。

「って、遊びまくれないよ。宿題だってあるんだから!」

「そうだよな、じゃあ、最初はまた勉強会だな」

「えーー!!?」

「何言ってんだよ!!」

「じゃあ、ギリギリまで宿題貯めとく?その場合私たちは手伝わないよ?」

そう言うと2人は黙ってしまった。
その2人をみて、私たちはいつものように笑った。





「ただいま〜」

「おかえり〜」

「え……」

今日も誰もいないと思ってた。私の足元にあるのは3センチほどのヒールがある靴、母の靴だった。
そして、リビングに行くと、お母さんが晩御飯を用意していた。

「おかえりなさい。学校どうだった?」

「……普通だよ」

「そう……さ!着替えてらっしゃい!早く食べちゃいましょう!」

「うん」

今日の夜ご飯、カレー……だったな。
お母さんがいる日は必ずカレー。
それ以外はない。


私とお母さんのあいだに、会話はない。
カチャカチャと食器同士がぶつかる音だけが聞こえる。

「ごちそうさまでした。お風呂入って寝るね」

「えぇ、美味しかった?」

「……うん、もちろん!」

食器を片付け、お風呂に行き、服を脱いで湯船に浸かる。

いつもいつも同じもの。
仕方ない、お母さんだって大変なのだから。

お風呂から上がって、洗面所を出るとドアの開閉音がして、とっさに玄関を見た。
そこには、大きなカバン、なんていうんだったかな、まぁそれを片手に持ったお父さんがいた。

「おかえりなさい」

「ただいま」

「宿題がまだ終わってないからやってくるね」

そう言って、私は少し早歩きで廊下を歩き、階段を駆け上る。
もう少ししたら2人の言い争いが始まる。
そう思って自室の扉を開け、ベッドに潜り込む。
布団を頭までしっかりとかぶる

「────────!」

「──────!!──────!!?」

あぁ、始まった。
もう嫌だなあ……
早く、終わって……。