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あれから、私たちは毎日のように4人で寄り道して帰って、すっかり4人メンバーのグループになっていた。

そしてもうすぐ、高校の体育祭。
今日はその実行委員決め。

「じゃあ、やりたい人いませんか?」

委員長の青木くんと副委員長の坂本さんが前に出て進行中だけど、やっぱり立候補は居ない。
みんなめんどくさいとか思ってるのかな。
さすがに私がやるわけにはいかないしなぁ……。

「誰も居ないので推薦……とかどうですか?」

すると、いいじゃん、そうしようよと言う声が至る所から聞こえてくる。
恐らく自分がならない、とでも思っているのだろう。
その後出てくる名前を黒板に坂本さんが書いて、進行は青木くんとなった。
圧倒的に出てくる回数が多かったのは……。

「それじゃあ、女子は鈴木さん。 男子は田中くんでいいですか?」

「ちょちょちょ! 良くないから!」

「え、俺ヤなんだけど」

「推薦って案が出た時に反対しなかったお前らが悪い、潔く委員なりなさーい」

「ちょ、先生!」

「それじゃあ、決定ということで。」

結局、さくらと田中くんの2人が実行委員になってしまった。


「あーもー!信じらんない!!」

「まぁまぁ、さくら落ち着いて」

「マジかよ……」

「まぁ、先生の言うことにも一理あるよな」

「悠真まで敵か!!」

「敵ってなんだよ」

2人は文句を言いたい放題に言い合っている。
そんな2人を苦笑しながら高橋くんと見る。

「陽菜、田中くん、頑張ってね!」

「うん!! 頑張る!!」

「アホか、お前は」

「何よ!!」

そんな二人のやり取りを、私たちは笑いながら見ていた。





「それじゃあ陽菜、ほんとに悪いんだけど」

「もう……わかったから早く行きなよ」

実行委員が放課後集まることになったのを知ったのはお昼休みの頃。
先生からその報告を受けると、田中くんとさくらは口を揃えて、え!?っと言っていた。
あまりにも揃っていたので、高橋くんと私で笑っていたら怒られたのもその時の話。

「で、でも……」

「いいから!ね?」

「うん……」

「また明日!」

「バイバイ……」

私が元気に挨拶をしても、さくらは不服そうに返すだけだった。
そして、肩を落として教室から出ていった。
ふうっと一息ついてカバンに荷物を詰め込む。
私も残ってさくらが戻ってくるのを待ちたいのは山々だが、仕方ない。
今日は寄るところがある。
時間が間に合うかどうかも少し怪しい。

「急がないと」

「佐藤さん」

「はいっ!!?」

「ごめん、驚かせた?」

「あっ、高橋くん……ううん、大丈夫だよ!」

正直驚いた……。
なんで一人なんだろうと思ったものの理由はすぐにわかった。
いつも一緒に行動を共にしている、彼の幼なじみ、田中湊くんもさくらと同じく、推薦で実行委員に選ばれていたのだった。

「良かったら一緒に帰らない?」

「あっ、でも、今日はいつもと違う道で……」

「どこか行くの?」

「うん、病院に」

「病院?どこか悪いの?大丈夫?」

「大丈夫!私じゃなくて知り合いのお見舞いだから!」

そういえば病院行きのバス、いつも田中くんと高橋くんの乗ってるバスじゃなかったっけ。
だったら一緒に帰れるよね……?

「それじゃあ、やっぱりダメか」

「あ、待って!よく考えたら乗るのは同じバスだったから一緒に行こう!」

「あっ、そいえばそうだったけ……わかった、行こう」

「うん!」





「でね、さくらったら別れ際までしょんぼりしてたの」

「ははっ、湊と一緒だな。 俺も待ってたいんだけど、あいにく今日は早く帰って妹と晩飯作る約束しててさ」

「へえ、そうなんだ!」

お互い話すことは自分のことではなく、自分の幼馴染のこと。今日の様子とか、昔、幼馴染と一緒にいて困ったこととか。そんな中出てきたのが妹さんの話。きっと、とても仲がいいんだと思う。話を聞いてる中ではそう思う。今日だって、妹さんと晩ご飯を作るらしいし。
すると、遠くから車とは違う一際目立つ自動車。私たちが乗るバスが来た。

「お、来たね」

「ホントだ」

中はわりと混んでいて、座れなく、立っているのも辛いくらいに人は乗っていた。そんな中、高橋くんはさりげなく私に負担がかからないように立ってくれている。やっぱりこうゆう所が女の子にも人気が出る理由なんだろうなぁ。それにかっこいいし。
ついつい見すぎていたのか、高橋くんと目が合った。

「どうかした?」

「う、ううん、なんでもないよ」

「そっか」

それから、会話は無く、人も減っていき、空席ができ始めた頃。

「座る?」

「ううん、もう着くから大丈夫」

言い終わった直後に次は西園寺病院前っとアナウンスが流れだし、お降りの方はとアナウンスは続いた。ボタンを自分で押し、高橋くんの方を見る。

「私ここで降りるの、高橋くんは?」

「そっか、俺は次なんだ」

「わかった、それじゃあまた明日ね!」

「また明日!」

お互いに別れの挨拶をして私だけ降りて、バスが見えなくなるまでその場にいた。
そして、大きな病院へ足を踏み出した。