1月1日。
ついに年が明けた。最後の年明け。
これからこの先過ごしていくのに、最後という言葉が付きまとう。
今に始まったことじゃない、もう慣れた。
最後だからこそ、今まで見えなかった事が見えてくる。
例えば、外に咲いてる花。
最後だと思えば前より綺麗に見える。
空も、病室から見る景色も。全部全部、綺麗だ。

ここまで来ると私は自分がいつ死ぬか、わからない。
もしかしたら寝ている間に死んでしまうかも。
急にめまいがして、倒れて、そのまま死んでしまうかも。
私は3月まで生きてる予定だけど、結局それは予定でしかないのだから。
やるべき事はちゃんとやって、終わらせておこう。

「お父さん、準備出来た?」

「ちょっ、ちょっと待ってくれ……これどうやるんだ……?」

「もう、まだ何も出来てないよ?」

「あ、わかったわかった!できた、こうだな!」

「はぁ……お母さんとお父さんは出てて。 終わったら呼ぶね」

「わかった、ちゃんと呼んでね」

「うん!」

そう言うと2人は病室から出ていった。
まだ何も終わってないんだから、これだけでも今日中に終わらせなきゃ。

「_________」





「ごめんね、時間かかっちゃった。あと任せていいかな、お母さん」

「もちろん。 もうゆっくり休みなさい」

「また明日も来るからな」

「うん、また明日」

なんとか出来上がった。
あとはアレだけ、そう思いながら引き出しを見た。
けれど、今日はもう無理。
身体中が痛い、また明日にしよう。
夜空に輝く星々を横目に、私は静かに目を閉じた。

明日もやることはある。
このまま寝ても、大丈夫?死んじゃったりなんかしないよね?
睡魔に抗いながら考えた、3人のこと。
まだ3人と居たい。もう少し話を聞いていたい。
だから私は大丈夫。明日もちゃんと目を覚まそう。
少しの恐怖と、明日のこと、それらを考えながら今度は襲いかかる睡魔に抗うことはなかった。