私が次に目を覚ました時、目に入った色は白。
消毒の匂いもする。
ここは、病院だ。
痛む身体をなんとか起こし、見渡す。
が、誰もいない。
するとドアが開いて、お父さんとお母さんが入ってきた。

「陽菜!!」

お母さんがそう叫んで私のことを強く抱きしめた。
身体が痛いのも我慢した。こうやって触れられたのは久しぶりだ。

「今先生呼んだからな」

「うん」

今は何日だろう。
あれからどれくらい経った?
わからないことだらけの中でもわかることが一つだけある。
それは、もう私の命は長くないということ。





先生に診てもらい今のところ異常がないらしい。
そして、3人で話し合った。
どうやら私は丸一日以上寝ていたらしい。
そしてその間に2人は話し合いをしていたそう。
今までごめん、それと、これからは昔のように仲良くしよう。
そんな言葉を聞けた。
そんな話し合いのあと、私は電話をしたい、ということを告げた。
学校祭が終わって2日経った、高橋くんに現状を伝えたい。
伝えなければ。

『何かあれば、迷惑だなんて思わず言ってほしい』

あの日そう彼に言われた。
現在、12時30分。
授業はもう終わっている頃だろう。
両親に付き添われ病院にある電話を使って高橋くんに連絡した。

『もしもし』

懐かしい、声だ。

「高橋くん」

『佐藤さん!? 鈴木さんから聞いたよ、もう大丈夫なの?』

「うん、今のところ問題ないって。 心配かけてごめんね」

『そんなのいいから、この前の病院だよね。 今日見舞いに行くから』

「わかった、待ってるね」

『それじゃあ、また後でな』

「うん、また後で」

そして、私はまた両親に付き添われて病室に戻った。
どうやら入院中、暇をしないようにと本を大量に買ってくれたらしい。
それにお礼を言うと、2人は嬉しそうに微笑んでくれた。





2人はまだ仕事が残っているらしいので、私は大丈夫だからと言ったら、14時までには戻ってこれると思うからと告げて居なくなっていった。

私の病室は個室。
なので、今は1人きり。
1人になると考えてしまう。
私は、この先の短い人生をどう生きるのだろう。
そもそも私はあとどれ位生きられるのだろう。
骨が痛い。身体中が痛い。
大量の本の山。
生きてる間に、読み終わるかな……。
もっとやりたいことが沢山あるのに、もうすぐ、死んじゃうのかな。
起きているのもしんどくなって、体をベッドに沈めた。