あれから3日。
今日はみんなが待ちに待った学祭。
私たちのクラスは、お化け屋敷。
午前と午後でメンバーは総入れ替えとなる。
残念なことにさくらと田中くんは午前が空き時間、私と高橋くんは午後が空き時間。
バラバラである。
「今日は陽菜のこと任せたからね!高橋!」
「おう」
「さくらのことお願いね、田中くん」
「任せとけ!」
朝のうちに話し合ったことである。
今は絶賛お化け屋敷営業中、午前の部である。
私たちは2人で、教室前での接客。
中から聞こえてくる悲鳴に、どれだけ怖いのだろうかと身を震わせる。
私も案外この手のものはダメらしい。
「怖そうだね……」
「あぁ……」
「2人とも!次の人入れていいよ!」
「はい!!」
二人同時に思わず大きな声で返事をする。
私は今、お化け屋敷に出てくるお化けの想像をしていたので、怖くなって驚いてしまった。
高橋くんも恐らく似たようなことを想像していたのだろうか、私と同じような反応を示した。
「お次の方どうぞ!」
「あっ、懐中電灯を持っていってくださいね!」
「行ってらっしゃいませ!」
慌てて私たちは接客業をこなしていく。
その後、誰がどこで話したかは分からないがお客さんは減るどころか増えていく一方だった。
まさに猫の手も借りたいほどの忙しさ。
午後の部の入れ替わり時間までずっと変わらず、お客さんは増えていったのである。
◆
現在、13時。
やっと午後の部との入れ替わりとなった。
「陽菜のこと任せたからね!高橋!」
「もう3回目だぞ?」
「鈴木、早くしろよ〜」
「うっさい田中!」
「高橋くん行こう。お腹すいたしさ」
「そうだね」
口喧嘩している2人を放っておこうという判断にいたり、私たちは外にあるという、たこ焼き屋さん等の飲食店を見に行くことにした。
◆
たこ焼き屋、お好み焼き屋、カフェ、様々な飲食店が外にも校内にもある。
出来ればゆっくり食べたいと思っていたが……
「人……いっぱいだな」
「う、うん」
そう、どこを見ても人だらけなのだ。
13時を過ぎたとはいえ、まだまだ混むのだろう。
それにしても、お腹がすいた。
とりあえず何か買って食べたい、どこか空いてないかな。
っと思ったものの、やはり空いているお店はない。
私は1つため息ついた。
やっぱりここは諦めて、あの人混みの中に行くしか……
「あっ」
「どうかしたの?」
「何が食べたい?」
「え?うーん……何でもいいけど……なんで?」
「じゃあ〜……あ、唐揚げとホットドッグにするか。 来て!」
唐揚げとホットドッグってちょっと多い……。
っていうか、来てって一体どこに?
やっぱりあの人混みの中で食べるの?
頭に疑問を並べながら高橋くんに手を引かれ歩いていった。
◆
「お〜!」
「あそこに座って食べよっか」
「うん!」
私が高橋くんに連れられてやってきたのは、なんと中庭。
確かに、ここなら人目につきにくいのだろう。
私たち以外は誰もいない。
「ここ、日陰になってて涼しいけど、景色を楽しめないとかで人が全然来なくてさ、こんな所でよかった?」
「うん! むしろここで良かった! さ!食べよ!」
心地よい風が吹く。
サラサラと葉が音を立てて揺れる。
あの大きな木は太陽の光を受け、まるで主役のように凛と立っている。
太陽の光が当てられている葉は明るい緑、黄緑。
影になっている葉は深く濃い緑。
葉と葉の間から漏れでる光がなんとも美しい。
思わず、唐揚げ片手に私の携帯のシャッター音を鳴らした。
「上手く撮れてるな」
「うわぁ!!」
気付かぬ間に私の携帯を高橋くんが覗き見ていたらしい。
想定外のことに、女の子らしくない言葉が出る。
ちょっぴり自分に苦笑い。
「そ、そうかな。 あ、うん、でも、割と結構いい感じ」
「写真撮るの好きなんだ? 将来は写真家になるの?」
「……うん、なれたらいいんだけどね。 そんなことより! 食べ終わったし、どこ行くか話してから動き出そう!」
「あぁ!」
写真家、なれたらよかったんだけどね?
残念ながら私はなれそうにないや。
そんな思いとは裏腹に笑顔で私は高橋くんと話し続ける。
変に間をあけてしまったから、不自然に思われないように。
平然に、いつもどおりにしなきゃ。
今日はみんなが待ちに待った学祭。
私たちのクラスは、お化け屋敷。
午前と午後でメンバーは総入れ替えとなる。
残念なことにさくらと田中くんは午前が空き時間、私と高橋くんは午後が空き時間。
バラバラである。
「今日は陽菜のこと任せたからね!高橋!」
「おう」
「さくらのことお願いね、田中くん」
「任せとけ!」
朝のうちに話し合ったことである。
今は絶賛お化け屋敷営業中、午前の部である。
私たちは2人で、教室前での接客。
中から聞こえてくる悲鳴に、どれだけ怖いのだろうかと身を震わせる。
私も案外この手のものはダメらしい。
「怖そうだね……」
「あぁ……」
「2人とも!次の人入れていいよ!」
「はい!!」
二人同時に思わず大きな声で返事をする。
私は今、お化け屋敷に出てくるお化けの想像をしていたので、怖くなって驚いてしまった。
高橋くんも恐らく似たようなことを想像していたのだろうか、私と同じような反応を示した。
「お次の方どうぞ!」
「あっ、懐中電灯を持っていってくださいね!」
「行ってらっしゃいませ!」
慌てて私たちは接客業をこなしていく。
その後、誰がどこで話したかは分からないがお客さんは減るどころか増えていく一方だった。
まさに猫の手も借りたいほどの忙しさ。
午後の部の入れ替わり時間までずっと変わらず、お客さんは増えていったのである。
◆
現在、13時。
やっと午後の部との入れ替わりとなった。
「陽菜のこと任せたからね!高橋!」
「もう3回目だぞ?」
「鈴木、早くしろよ〜」
「うっさい田中!」
「高橋くん行こう。お腹すいたしさ」
「そうだね」
口喧嘩している2人を放っておこうという判断にいたり、私たちは外にあるという、たこ焼き屋さん等の飲食店を見に行くことにした。
◆
たこ焼き屋、お好み焼き屋、カフェ、様々な飲食店が外にも校内にもある。
出来ればゆっくり食べたいと思っていたが……
「人……いっぱいだな」
「う、うん」
そう、どこを見ても人だらけなのだ。
13時を過ぎたとはいえ、まだまだ混むのだろう。
それにしても、お腹がすいた。
とりあえず何か買って食べたい、どこか空いてないかな。
っと思ったものの、やはり空いているお店はない。
私は1つため息ついた。
やっぱりここは諦めて、あの人混みの中に行くしか……
「あっ」
「どうかしたの?」
「何が食べたい?」
「え?うーん……何でもいいけど……なんで?」
「じゃあ〜……あ、唐揚げとホットドッグにするか。 来て!」
唐揚げとホットドッグってちょっと多い……。
っていうか、来てって一体どこに?
やっぱりあの人混みの中で食べるの?
頭に疑問を並べながら高橋くんに手を引かれ歩いていった。
◆
「お〜!」
「あそこに座って食べよっか」
「うん!」
私が高橋くんに連れられてやってきたのは、なんと中庭。
確かに、ここなら人目につきにくいのだろう。
私たち以外は誰もいない。
「ここ、日陰になってて涼しいけど、景色を楽しめないとかで人が全然来なくてさ、こんな所でよかった?」
「うん! むしろここで良かった! さ!食べよ!」
心地よい風が吹く。
サラサラと葉が音を立てて揺れる。
あの大きな木は太陽の光を受け、まるで主役のように凛と立っている。
太陽の光が当てられている葉は明るい緑、黄緑。
影になっている葉は深く濃い緑。
葉と葉の間から漏れでる光がなんとも美しい。
思わず、唐揚げ片手に私の携帯のシャッター音を鳴らした。
「上手く撮れてるな」
「うわぁ!!」
気付かぬ間に私の携帯を高橋くんが覗き見ていたらしい。
想定外のことに、女の子らしくない言葉が出る。
ちょっぴり自分に苦笑い。
「そ、そうかな。 あ、うん、でも、割と結構いい感じ」
「写真撮るの好きなんだ? 将来は写真家になるの?」
「……うん、なれたらいいんだけどね。 そんなことより! 食べ終わったし、どこ行くか話してから動き出そう!」
「あぁ!」
写真家、なれたらよかったんだけどね?
残念ながら私はなれそうにないや。
そんな思いとは裏腹に笑顔で私は高橋くんと話し続ける。
変に間をあけてしまったから、不自然に思われないように。
平然に、いつもどおりにしなきゃ。