「見つかって良かったね」

「そうだな! あ、そういえば、2人はどうしてんだろうなあ」

「まだ何か食べてるか、屋台をひとつ残らず行こうとしてるかのどっちかじゃないかな?」

「そうかもな」

なんて、いいながら私たちは笑いあっていた。
するとどこからか、ヒュ〜〜〜……という音が聞こえてきた。
そして空を見上げた瞬間、ドン!っと凄まじい音がする。
空に広がるのは様々な色の花火。
大きさも色もそれは空に広がる花々のよう。

「綺麗……」

思わずそう呟いてしまうほどに、綺麗だった。
すると隣からも「すげぇ……!」という呟きが聞こえた。
そして、私の顔より高い位置にあるその顔を私は横目でチラリと見た。
そして、息を呑んだ。
花火の色に照らされ、微笑を浮かべるその顔はとても美しかった。
一瞬コッチを見ようとしたので慌てて視線を逸らし、花火を見上げた。
本当に綺麗だ……。





「そろそろ戻ろうか」

「うん」

綺麗だった花火も、もう空にはない。
たった数分の出来事が、いや、今日という日が私には一生の思い出となる。
別荘に来たことも、お祭りではぐれちゃったことも、迷子のお母さんを探したこと。
そして、2人で花火を見たこと。
どれもかけがえのない私の大切な思い出だ。

「あっ!陽菜!!」

「さくら?」

「悠真〜!」

「湊……?」

私たち4人は入口で落ち合った。
あの後2人は、さくらは私を心配して探しに行こうとしたが、田中くんに「悠真がついているから大丈夫だ」と言われ、不満があるが高橋くんに私を任せたらしい。
そして私たちは、お互い今日のお祭りではぐれたあとのことを話した。
2人は案の定、所狭しと並んでいた屋台を制覇したらしい。
想像通りすぎて少し笑ってしまう。
別荘についてからも話は弾んで止まらない。
が、入浴時間と睡眠時間を考えるともうお開きにしようとなった。





翌日からは宿題に取り掛かった。
田中くんとさくらには手を焼いたけれど、なんとか終えて思う存分楽しんで、各々家に帰った。
後日行こうとなっていた花火大会も、そして、二学期始業式の日も、私は“行けなかった”。