「えー、もうちょっと話しましょうよー」

「かえらないでー」

教室からは女子たちの甘ったるい声。

ったく。もっと相手してればいいのに。


そう思いながら、あたしは
メモに書いてあった場所を目指す。


花園寮のとこかな。

ここは、寮付き。だけどあたしは
近くのマンションに住むことにした。

寮からも近いし、家賃も高くない。


バイトしてお金貯めて暮らすって言って
親に承諾をもらった。

でも、うちの親は、
心配だからって毎月仕送りすると言ってくれた。


だからあたしは必死にバイトして
親孝行するって決めたんだ。


なんて思いながらついた待ち合わせ場所。

人気の少ない静かな路地。

ほんとに此処でいいのかな…

何て思ってたら、

「ちゃんと約束守ってくれたんだ?」

…奴の声がした。


「当たり前でしょっ!で、用は何!?」

頑張って怒鳴ったつもり…だったけど。


効果なし。


「お前の家ってさ…あそこ?」

指された場所は、
あたしの住んでるマンション。