教室に着くなり、運よくあたし達の席は前後だった。
「良かった、近くじゃん」
あたしは來名に微笑んで席に着いた。
席に着くなり來名が、
「そう言えば、SOGもこのクラスらしいねー」
「SOG?って誰?」
「え!?まさか知らないの!?」
「え、あ、うん」
素直に認めると來名ははーっと溜息をついた。
え?だってSOGとか誰よ。
前の学校でもそんな人いなかったし。
イニシャルにしては1文字多いし。
SOG …か。
「ね、どんな人なの?」
どうしても知りたかったあたしは思わず聞いてしまった。
「いーい?よーく聞いてね?」
よーく聞いてねって、そんな重要なのかな。
すると來名は話し始めた。
「SOGはね?ここら辺じゃ超人気のイケメンさん。
頭もいいし、スポーツ万能だし、お金持ちだし!
ここまではいい?」
「う、うん」
「とにかく、イケメンすぎるのよ!
サラッサラの髪に長ーいまつ毛。
キリっとした目に…」
淡々と話していく來名。
でも、何でSOGなんだろ。
「じゃあさ、何でSOGなの?」
そう聞いたあたしに來名は
「ああ。それは、SOGの名前は
神楽 隼(かぐら しゅん)。
名前の頭文字を取って王子を付けて。
ってのもあるんだけど…」
ああ、なるほどね。 S王子って意味か。
でも、今だけどって言ったよね?
「……だけど?」
「Sって噂もあって、
それでSOGって意味でもあるんだよね」
「…はい?」
ちょちょ、Sって!マジっすか?
中学の時の思い出がよみがえる。
『ほんっと眸はMだよな…』『虐めちゃいたくなる…』
あー!駄目駄目!思い出しちゃ!
あたしは大きく首を振った。

