勿論、さっきも言った通り、
親も怒ることなんて一度もなかった。
『真咲』なんて呼ばれたのは
記憶上、今回が初めてだった。
いつも『まーくん』と呼ばれてた。
俺が抱きつけば
抱きつき返してくれる。
俺が手を差し伸べたら
そっと握ってくれる。
そんな優しい母親が…何で?
「お…かあさん、?」
「真咲…もう、終わりにしようか」
「…何を?」
「いつまでも、親に甘えてらんないでしょ?」
今思えば…この母親は何を言ってるんだ?
3歳で普通親離れなんてするのか?
でも、小さい俺はその言葉を
解釈することが出来なかった。
「あとね…
藤沢眸とは、もう関わるな」
今…俺の目の前で喋ってるのは
一体誰なんだ?

