何だろう…此処にいちゃいけない気がする。
でも、足は全くと言っていいほど
動かない。硬直してる。
逃げたい。そう思う自分と
逃げちゃダメ。そう思う自分が
あたしの頭の中でフル回転する。
でも、あたしはそっと
耳を傾けた。
「真咲…。こいつ等…」
「いつになったら金返してくれんのかなぁ?
貧弱なお兄さんよぉ?」
隼の言葉を遮るように
グループの中でも中心そうなお兄さんが
ニタニタと笑いながら真咲に問いかけた。
「だから…っまだ返せないって言っただろ…」
「あぁ?お兄さん、誰に向かって口訊いてんのかなぁ?」
「真咲!誰だよっ!!」
「…っや!」
その瞬間の出来事に
あたしは叫んでしまった。
良かった…バレてない。
「カッコいいお兄さんは黙っててねぇ?」
相変わらずニタニタ笑う男は
隼にそう言った。

