下駄箱に着いた途端。


冷めた視線が突き刺さった。


 やっぱり、当たったか。



ちょっとでも…違ったらって思ってたから、


少しだけ落胆する。


「気にしない方がいいよ。」


來名は『いこ。』とあたしを引っ張った。



でも、その人ごみの中で。


「あの人じゃない?藤沢さんって」


「あれが隼様をもてあそんでる人!?」


「やだ。最悪。アイツ彼氏いるんでしょ?」


「ただの男好きなだけじゃない!」



次々と降ってくる言葉。


 痛い…視線が、言葉が痛い…



「あとさ!あの人って
 中学時代ドMだったんでしょ!?」


「MJTとか呼ばれてたんでしょ!?」


「成田君のパシリもやってたんだって!」


「その理由が勝手に好きな人にキスしたのを
 バラされないようにするとかでしょ!?」


「ってか、もうばれてるしー!」



喋ったんだ…。アイツ。


 通るたびにそんな声が聞こえる。



中には。


「あーら。どうも、男好きのドMさん」


何て言いながら足を踏まれる。



「った…」


「あたし達の恋をどう責任とるのかしら?
 陰でコソコソ隼様で遊ぶなんて」


「遊んでなんか…!」


「説得力がないのよねえー。
 この、ブス!!」


「きゃっ!」


「眸っ!!」


ドンッと押されて、地面に体が付く。