講習が終わると、お客さん達はウエットスーツに着替え、そのまま講習用のプールへ向かった。

午後はファンダイビングのお客さんも入っているし、まだ、夏休みまでにはしばらくあるが、忙しい一日になりそうだ。


ランチには海から上がったお客さん達で賑わい始めると、大学生バイトの高橋君が入ってくれた。

おかげでなんとか、ランチのバタバタを追えるが、フラッペだ、軽食だと客が途切れる事はない。


そうこうするうちに、ダイビングからも戻って来たお客さんのランチの用意をする。

海里さんも、さっとキッチンに入り準備を手伝ってくれる。


「また、トマトかよ?」

とチラリとこちらを睨む。


「海里さんの分には入ってないわよ」

私もチラリと海里さんを見て睨む。


「おお、良く出来ました」

海里さんは、私の頭をポンと叩いた。


私は海里さんに向かってあっかんべーと舌を出した。


海里さんが、私を睨んだと同時に、パパがニコニコと店に入ってきた。


「今夜は、夏の初めの気合をいれようや。バーベキューやるぞ!」


「やったあ!」


 高橋くんがガッツポーズをすると、いつの間に帰ってきたのか、ユウちゃんが後ろから、高橋君の首にしがみついてた。


「おやじさん。俺、こいつと後で買い出し行ってくるわ」


「おお、悪いな」

 パパは、茶色い封筒をユウちゃんに渡した。


「全部使っていいのか?」


「ばか、それほど入っとらん。足りない分は、ユウが出せ」


「ええ! まじかよ」


 ユウちゃんは眉間に皺をよせながら、自分のランチの用意を始めた。